オンガクカンキョウソウゾウカ?

絶対に金持ちになりたいの
人生が100だとしたら90は遊んで8は真面目に生きて
2は寝るって決めてるんです
プロジェクト3 学部3年 桐山修二さん

音作りを夢見て音環に入学した桐山さん。経験を積むために録音にPAに音に対して真面目に向き合っていたが、中途半端な気持ちでエンジニアにはなれないと他の道に転向することにした。そんな彼の今までとこれからに迫る。

音楽に興味がなかった幼少期

――ピアノはやってましたか?

やってました。

――何歳から?

3歳くらい。母が専門はフルートなんだけどピアノの先生やってて。でもおれは本当にピアノが嫌いだったんです。音楽に興味がなかった。それで、小学6年くらいの時に中学受験するために小5くらいでやめました。それ以来ピアノはほとんど触れてないです。副科ピアノでちょっとやってるくらい。

――ピアノ以外の楽器は?

中学の時に部活動とは別に学校の活動の一環でクラシックギターを3年間やってて。マンドリン部みたいに20人くらいアンサンブルになってやってました。

――フルートは?

フルートは父親に、唇が厚いからやらせられないって言われてやりませんでした。で、中3くらいでベースを始めて、で高校3年間は軽音楽部やってました。

音そのものへの興味

――何で音環に入ろうと思ったんですか?

高校の時にバンドをやってて、演奏するよりも音を作り込むほうに(興味が)変わったんです。だからいっぱいエフェクターとか買いあさって、自分の音は勿論、バンドメンバーの音とかもおれがつくっていました。スタジオに入ると最初の30分はおれの音を作る時間みたいになってて。そういう感じで音そのものに興味が出てきたんですね。で、PAとかやりだして。どっちかっていうとプレイヤーよりも音を作ることにはまって。で、そんなときに藝大の音環を見つけて、入りたいなと。

――最初からプロ3希望ですか?

そう、入る前からプロ3(志望)です。

――自己表現ってなにしたんですか?

入る前からばりばりプロ3みたいなこと言ったけど、入る前はいろいろ作ったりしてたんですよ。

――作曲ですか?

音響作品みたいなのつくってたんです、ずっと。若干だけど、受験直前にはプロ5にも興味もってたんです。で、受験の時に、今持ってるおれのスキルを全て出した方がいいなと思ったんですよ。で、その時期、半年くらいにホームレスの人への炊き出しとかやってて、その時にホームレスのおじさんとかと仲良くなってって。それをマニアックな音作りも含めて全部形にできたらいいなと思って、生の声をとって作品を作ってプレゼンテーションをしました。

――それって作るのにどのくらい時間かかりましたか?

ん? 1日。(笑)基本全部ね、モノは1日で作るから。構想とか準備とかには時間かけてますけど。

――高3の夏くらいから作るぞーっておもってたんですか?

全然。センター終わったくらいにはじめましたね。ちょっと違う話して良い? 2月の音楽の試験の10日前に自転車で事故って(笑)で、救急車に乗って入院沙汰になって。見て傷傷。(傷を見せられる)

――え、ぱっくりじゃないですか

二十何針縫ったんです。1人息子だから、親はやすやすと浪人を認めるわけにはいかないじゃない。で、「あんた足怪我したけど受けなさい」ってなって。「おぉぉぉ」みたいになって、おれも受けるわけですよ。毎朝、病院に消毒に行き。で、試験当日になるんだけど、もう音楽史とか全然わかんないんです。それでも松葉杖ついて行ってなんとか解いて。小論文もね、松葉杖ついていって書いて。なぜかクリアして。で2次。そこからですよね本気で作り始めたの。で、自己表現のやつバッとつくって。で、面接行って受かりました。

――ちなみにセンターどれくらいだったんですか?

7割いってないです。68%くらいかな。

やりたいこととハンディキャップ

――入学前後で考え方変わりましたか? こういうことやりたいとか。

基本的には変わってないですね。

――かっこいい。初志貫徹じゃないですか。

いやでも、今は変わってますね。でも、ずっと真面目にやりたいことはやってました。入学前から思ってたことはやれてました。

――基本的に音を作ることはやれてた?

そうですね。音そのものに対して向き合う人間ではいたと思います。

――ちなみに今は変わったって言うのは?

1年の終わりくらいから耳の調子がよくないときがあって。親も突発性難聴になってたりして、耳が強い家系じゃないらしく、これで食ってくのは多分よろしくないなとおもって。もし耳やられたらダメじゃないですか、サウンドエンジニアなんて。

誰かの言葉で、18歳とか20歳って言うのは人生を1日に例えるとまだ6時だみたいなこと言ってて。おれ6時とかいつもはまだ寝てないし、だったらもうざっくり変えていいかなーって。だから今は結構迷走してるけど、もう音からは離れようかなと。あと職業的にエンジニアっていうのは旬じゃないと思うんだよね。ほんとに耳がいい一握りはいつまでも食えていく職業だとおもうけど、不安要素を抱えつつ、あえてそれを選ぶのは微妙かなと思いました。で、今はエンジニアになる気はさらさらないです。だから入学前と入学後変わったかって言われると、今見ると変わったのかもしれないです。今もお仕事もらったりしたら、できるはできるから真面目にやってますけど。

闇雲に経験値を積んだ1、2年

――1、2年生の時に具体的にどういう研究をしたんですか?

1年生の時って音響、録音音響学に関してはゼロからのスタートみたいなもんじゃないですか、だからただ闇雲に経験を積んだ方がいいなと思ってて、ひたすら先輩の録音にもぐったり亀川先生の録音を手伝ったり、自分でミックスしたりひたすら経験値を積んでました。2年の夏ぐらいまではその状況が続いたのかな、で、アートパス(*1)に照準を定めたのが9月くらい。スティーブ・ライヒのカウンターポイントシリーズって言うのがあって、ライヒは、「ミニマルを人間に演奏させることで揺らぎがうまれていいじゃない」って言ってたんですけど、俺は「いやそこちがーーーう」ってなって。「ゆらいじゃだめだ!」って、揺らぎがない、人間が演奏するバーモントカウンターポイントを作りたくなって、10月くらいからはアートパスにむけてそれをやってました。アートパス終わってからも興味は続いてたからカウンターポイントシリーズのニューヨークカウンターポイントって言うのを録ったり、スティーブ・ライヒの本を頑張って読んでました。

――今はプロジェクトで何やってるんですか?

マルチトラックレコーディング(*2)。これが終わったらサラウンドについてです。

「音の愛好会」みたいな授業

――何の授業とってるんですか?

音響設計学はとった方が良いと思います。

――空間音響は?

空間音響はとったことないんですよ。でもあれ結構マニアックだからある程度自分の方向性が決まってからで良いんじゃないですか? 難しそうですよね。

サウンドシンセシスはとった方がいいです。俺がとった時は、メンバーが2人しか居なかったから、「音の愛好会」みたいな感じでした。あれは本当に良いと思います。

――サウンドデザインはどうですか。

多分やりたい人にとってはいいんだと思います。おれ本当にさっきの1日で作る法則で全部やってたから。

――桐山さん器用ですよね。

いや、器用じゃないです。突発的な変な力があるんですよ多分。24時間にかけるんだよおれは。本当に。それだけ。

――楽しかった授業は?

DTP演習って答えとくのがいいんでしょうね。(※注 このインタビューはDTP演習履修経験者たちの自主制作です)楽しかったです。あと映像基礎演習は楽しかったと思います。あとワークショップ論。あとAMC(*3)のスタジオサウンド演習。

――桐山さんって学外活動が多いイメージなんですけど?

PAもやるし録音もするし、プロ3的な意味でうちの学年では1番多いと思います。

――どういう人脈で仕事が来るんですか?

とにかく興味ある人に会って話をして名刺もばらまいたり。人間関係を構築するのは得意なほうだと思います。でも最近はばらまきすぎだったり。

――ばらまきすぎた?

そうそう。最近は断ることもあります。こっちはさっき言ったみたいに方向性を変更したので逆に申し訳ないじゃないですか。向こうは全力なのに。だから自分が興味あること以外は大体断ってます。

全力で挑む8(はち)

――進路はどうするんですか?

おれは、絶対に金持ちになりたいの。

――それはなんでですか?

親を越えたいんです。だからまず一番最初に金持ちになりたい。まず、金持ちになりたいって言うのをテーマに掲げるって言うのがまず世間体からしてクサいじゃないですか。でも、とにかくお金持ちになりたいって言うのをおれは頭に持ってきたんですよ、あえて。で、そのためにはどうしたらいいかっていくつか考えてます。

――もう一般大学生みたいに3年生から就活してみたいな?

ふつうにエントリーシートとか書いてますよ、鉄道会社に出したり。もう…線路の話とかしちゃいました。

――桐山さんって真面目なのか真面目じゃないのかいまいちわからなくて距離が測りきれないんですけど。

いや、真面目じゃないですよ僕は。

――切り替えがはっきりしてますよね。

おれは、人生が100だとしたら90は遊んで8は真面目に生きて2寝るって決めてるんです。その8は薄っぺらい8じゃなくて、全力で挑む。だから基本は遊んでます。

――うさんくさいことを仰った(笑)

うさんくさくない、そうやって決めてんのおれは。 (了 2012年7月)

 

*1 アートパス:毎年12月に行われる学外に向けた研究発表会のこと。それぞれが作品や研究成果を発表する。

*2 マルチトラックレコーディング:多重録音のこと。

*3 AMC:東京藝術大学芸術情報センター。

 

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