オンガクカンキョウソウゾウカ?

運動は大事だよ…
  
プロジェクト1 学部4年 K. K. さん

孤高の癒し系ハードコアアーティスト、KmtKskさん。自作の楽器を使ったライブパフォーマンスで人々を魅了してやまない。
音環生活もついに4年目に突入し、老若男女問わず愛される存在となった彼は今、何を語るのか!

アートパスを経て卒制へ

――KmtKskさんは4年生ですが、プロジェクトではなにしてますか?

4年生はカリキュラムとしては『卒業制作』になります。プロ1の人の場合、毎週金曜日に上野校舎で西岡先生と会って話をするんですよ。「制作どんな感じ?」とか。

――なるほど。卒業制作では何をする予定なのですか?

楽器を作ってライブする予定です。見に来てください。 

――プロジェクト1では、さらに3つのゼミに分かれますが、KmtKskさんはどのゼミに所属していたのですか?

ゼミは1年生のときからずっと森ゼミです。電子音響音楽とか学ぶところですね。主にMax/MSP(*1)っていうプログラミングソフトを使います。プログラミング自体は大学入ってから学び始めました。

――今までどんな作品作ってきたんですか?

1年生のときは特に何もしていません。強いて言うなら、プロジェクトの1年生の企画の中で「銀河鉄道人身事故」という金管アンサンブルの曲を作りました。ちなみに器楽曲はほとんど書きません。2年生ののアートパスでは、『○△□』という作品を作りました。

――どんな作品ですか?

60°刻みに円形に並べられた6台のスピーカーから、リアルタイムで加工された楽器(ギター、ベース、シンバル)の音を図形の形を描くようにパンニングをして、それぞれの図形に対応した拍子(三角形は三拍子、四角形は四拍子といったように)を作り出していく作品です。発表形式は、展示とライブパフォーマンスどっちもやりました。1人の奏者(Pgramming, Bass)がもう1人の奏者(Guitar)に数種類のあらかじめ決められたフレーズを演奏するタイミング、種類を指示し、出力された音に対して加工を掛け、何の図形を描くかシーケンサーで入力していく、というものです。

――難しいですね。

難しいです。

――他に2年生のときに作った作品はありますか?

森ゼミの課題で『ミュージックコンクレートジャングルTokyo』という曲を作りました。なんかAVの音を動画再生ソフトじゃないソフトで再生するとすごいかっこいい音になったのでそれを使って作った作品です。でもできた後に全然ミュージックコンクレートじゃねえって気づいて急遽雨の音とか引き延ばしていれたりしました。完全になめてましたね(笑)

――ちなみに3年生のアートパスではなにを作ったんですか?

Re:sound弦に触れることのできない弦楽器の制作をしました(作品名『Re:sound』)。ギターのハウリングから、弦に触れずに弦を振動させる要素を抜き出すことで作品が作れないか、と思ったのがきっかけですね。

――プロジェクト以外で、授業でなにか役に立ったものはありますか?

ないですね。というのも、この授業をとったからこれができるようになった!っていう授業がない気がするので。プロ1に入って作曲のことも教えてもらったことないですし。けど、今の自分が何か作るときの根本的な力にはなっていると思います。すごく基礎的な部分で。1つ挙げるとしたら去年とったジャズポピュラー音楽理論はすごく為になりましたね。今までコードとかよく分かんなくてノリでやっていたので。

幼稚園児と一緒に楽器作り

――学外活動とかなにかやってますか?

オルタナティブハードコアプログレッシブジャズバンド「撲殺された放課後」を組んで活動していました。ギター×2、ドラム、ベース、サックス×2、アコーディオン、ピアノ、ボーカルっていうちょっと変わった編成です。人数多くてグワーーーーーってなるのがやりたかったんで(笑)。藝祭とか新大久保のライブハウスとか消防署とかスカイツリーのふもととかでライブしたことあります。苦情と戦いながら。日本って本当に音を出せる場所が少ないですよね。やってる場所が場所なだけに仕方ないんですけど、警察呼ばれたり怒鳴り込まれたりしました。あとは北千住でオルタナティブスペース「放課後」っていうのを古い一軒家借りて運営したりとかしてました。みんなでイベント開いたり、麻雀してましたね。あと借りてた期間は基本的に「放課後」で曲作ってました。深夜にふらっと行って、明け方まで曲作って寝るっていう生活でしたね。大体1人でしたけど。良い思い出です。去年は依頼受けて舞台の音楽制作やったりしました。あと幼稚園に音環の何人かと訪問したことも2回ありますね。1回目は…あまり覚えてないです。2回目は園児と一緒に楽器作って遊びました。ペットボトルでマラカスとか、牛乳パックでカスタネットとか。んで、作った楽器でみんなであんぱまんのマーチとか演奏しました。楽しかったです。あと故郷広島での母校の卒業ライブはレギュラー枠があって、8年間くらい出ています。来年も出るつもりです。去年は五藝祭(*2)のライブも出ました。

運動は大事

――入学前と後での考え方の変化とかありますか?

運動って大事だな…。最近そう思います。体って本当に大切。あと入学前はずっとバンドやってたんで、パソコンだけでライブする人に対してすごく軽蔑とかがあったんですけど、今ではそっちのほうがパフォーアンスの難しさとかがあってそっちばかりやってます。でもパソコンだけでのライブはあんまりなくて、ベースは大体弾いてます。

――なぜ音環受けようって思ったのですか?

4年間運動せず勉強せず、バンドできると思ってたからです。自己表現では幼稚園児とセッションした映像を見せました。

――入学前の音楽スキルを教えてください

2歳の頃から小学校2年生くらいまでピアノをやってました。中学校に入って吹奏楽部でユーフォニウムをやり、その後はバンド組んでベースひいてました。あと家が楽器店ということもあって、小さい頃から楽器作りに興味がありました。

――今後の展望とかあれば教えてください。

大学院に行こうと思ってます。音環の院(音楽音響創造)か横浜のメディア映像専攻。

その先はまだ考えてないです。作曲家になるつもりはないです。ていうか日本に今いるんですかね、作曲だけで食べてる人。中田ヤスタカくらいじゃないですか。大体の人が副業とかしてますよね。むしろ作曲のほうが副業の人がほとんどだと思います。自分は結構いろんなことに興味がころころ変わるんで、作曲だけっていうのは向いてないと思います。好きなように無責任に生きていきたいですね。

――なるほど。いろいろ考えてるんですね。今の音楽環境創造科について思うこととかあれば聞かせてください。

プロジェクト1のことについていえば、すごく危険な状況にあると思っています。いろいろ言われるかもしれませんが、プロ1ってほとんど劣化作曲科になっているんですよ。俺なんか譜面書けない読めないピアノ弾けない知識ないの四重苦で劣化どころの騒ぎじゃないですけど(笑)。ホームページとかには「新しいテクノロジーを用いた表現や、西洋音楽、邦楽、民族音楽、ジャズ・ポップスを研究することで、これまでになかった音楽や音響の新たな可能性を追求しています」って書いてありますけど、新しいテクノロジーと言っても大体5年くらい遅れています。今更タッチパネルとか無線とかやってもね、みたいな感じで。多分映像研究科アニメーション専攻(横浜に設置されている大学院)とか美術学部のデザイン科とかとのコラボレーションがいろいろあるじゃないかと言う人もいると思うんですけど、そんなのやりかったらその科の友達作ればいいんですし。後輩とかこれから入ってくる人には作曲科との差異をしっかり作ることを意識してもらいたいです。あと最近すごく感じるのは、音環の先輩たちとの繋がりってめちゃくちゃ大事ですね。最近音楽ミックスにすごく興味があるんです。というかせざるを得ない状況になることがすごく多くなってきて、でも授業でミックスのこととかやらなかったんで全然分からなかったんですよ。とりあえずコンプレッサーかけてリバーブでしょって思ってて。それで先輩とかに聞くとすごく的確なアドバイスをくれるんですよ。んで良いアドバイスくれるのは、大体酔っぱらってつぶれて迷惑かけてるような駄目な人なんですよ(笑)そういう人たちのほうが音楽に対して異常な執着持ってたりするんです。ロックンローラーとかそんな人たちばかりですし。多分コンプの設定いじってたら1日が終わってたとかバスドラの音作ってたら朝とかそういう暇な生活しているんですよ。暇じゃないといいもの作れないと思ってます。なので忙しい忙しいって言ってる人とかすごく嫌いですね。でも音楽的に1番影響を受けたのもそういう人たちからです。いろいろ仕事回してもらったり奴隷のように使われたりして、いろんな経験させてもらってます。なのでみなさん、僕と遊んだり作品手伝ったりしてください(笑)。 (了 2012年7月)

――ありがとうございました。

 

*1 フランスの実験音楽の研究所IRCAMが開発した音楽プログラミングソフト。

*2 東京・金沢・京都・愛知・沖縄の5校の国公立芸術大学が集う体育と文化の祭典。昨年は京都市立芸術大学にて開催された。

 

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